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皮膚科形成外科医院池野クリニック

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2021.05.19

「マタネ、アイシテル」

No.462

「またね、愛してる。」

人間界では言い尽くされた言葉ですが、今回のお話でこれを発したのは鳥、一羽のオウムです。

当院ご来院者さまには、ワンちゃんネコちゃん、その他動物(ペットちゃん)と一緒に

暮らしておられる方々がたくさんいらっしゃいますから、

「他の種とコミュニケーションは可能か?」など今さらのつまらない問いで、我々動物好きは経験的に、皮膚感覚で「ウチの子とは毎日しゃべってるよ!」とお応えでしょう。さて…

 

上記の言葉は、アメリカの理論化学者アイリーン・ペッパーバーグ博士が、ひょんな経緯から、動物、中でも発語能力を持つオウムを研究対象に、オウムがどのくらいの認知能力やコミュニケーション能力を持つかを研究される中で、一羽のオウムが亡くなる直前にアイリーンさんに向かって発した言葉です。

 

この子はアフリカ原産の「ハイイロヨウム」と言う種で、名はアレックス、体長約30cm。

1976年からアイリーンさんの研究対象になりました。科学者(医学も)はどの分野でも同じく、研究の客観性を保持するために、研究対象に「私的感情」を持ち込むことは禁じられています。アイリーンさんもこれを徹底し、31年間にわたって言葉や数字などを教え、反応を研究されました。その結果アレックスは、100以上の単語を覚え、さらにアイリーンさんの発する言葉を理解し、単なる「オウム返し」ではなく、筋の通った言葉を返すようになっていきました。アレックスは人間5才程度のネイティブ英語で会話ができるほどの能力を持っていました。

 

鳥類では平均寿命50年位の種もありますが、ヨウムで30年は長生きの方かと思います。比較的元気でしたがさすがに31才になったとき、ほぼ突然、この言葉を発して亡くなりました。アイリーンさんは、これまで研究対象としてしかアレックスを見ていなかったけれど、「マタネ、アイシテル」と言い残して亡くなったアレックスを前にして、その時初めて、初めてご自身すら気づかなかったアレックスとの友情、信頼関係の深さを強く意識されたそうです。この訃報は、経済誌であるはずの「エコノミスト」までが大きく取り上げました。

 

私は脳や感情については素人ですが、ネコ始め動物・植物と暮らすことで、種を超えたコミュニケーションは当たり前にあると信じています。最近の研究では「樹木間でも、ある匂いをやりとりしてコミュニケーションしているようだ」との論文を読みました。

これまで地球上では我々「人間」がピラミッドの頂点にいるような錯覚をしてきたけれど、今はウィルス受難の中です。動物や植物がこれをどのように見ているかを知りたいです。

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