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皮膚科形成外科医院池野クリニック

池野皮膚科形成外科クリニック
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2024.03.30手紙

No.507

今日は一人の作家のお話、有名な実話をご紹介いたします。100年くらい前のことです。チェコ・プラハ生まれのその作家がベルリンにいる頃、よく散歩していた公園で、ある日「とても大切にしていたお人形をなくしてしまった…」と泣いている少女に出会いました。いっしょになってよくよく公園を探しましたが見つからなかった……そこで彼は少女をなぐさめるために、翌日「あのお人形からあずかったんだよ。」と称して一通の手紙を少女に手渡します。その手紙には……「どうか悲しまないで。私は世界が見たくて旅に出ました。またお手紙を書きますね。」

その後も、ある時は、「学校に行って、いろいろな人と出会いました。」 またある時は「あなたが大好きです。」……と。

彼が少女のために「お人形からのお手紙」を書いたのは、何週間もの間、毎日毎日のことでした。やがてやむを得ずベルリンを去ることになったときどうしたでしょうか?もちろん同じ人形はありません。彼は代わりに新しい人形を手渡し、「長い旅をしていたから、その間にちょっと変わったんだよ。」と説明をつけることも忘れませんでした。このお話は、そのときの恋人の女性が思い出に語っていたことだそうです。

 さて、この作家とは「審判」、「変身」…と言った大きな作品を残し、その後は作家だけでなく、哲学者、映画製作者…あらゆる分野に影響を残した、フランツ・カフカです。カフカの作品は、不条理文学かと思うくらい、繊細で哲学的ですが、それと同時に、こんなに温かいこまやかさがあり、また作品と同じくらい「手紙」にも熱心で、何か誰かを失った悲しさ、つらさを抱えた友人知人に手紙を書いて送っていたそうです。カフカの生涯は約40年ととても短く、没後ようやく認められた作品の方が多いそうです。でもご本人自身もとても魅力的な方で、残された「手紙」を読むとよくわかります。現代でも、むしろ現代日本ならいっそうたくさんの方々をひきつけると思います。そのお話はまた次の機会に。

 雨と低温の足踏み状態がつづいていた桜開花宣言も、ようやくされましたね。皆さま風邪にお気をつけになってお体お大事に。

 

 

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